
昨年12月半ばからインフルエンザ感染症が猛威を震い、更に新型コロナウイルス感染症とマイコプラズマ感染症も増えてきましたが、今年もまもなくスギ花粉の飛散が始まります。
今年のスギ花粉飛散予測と初期治療のポイントを地方部会アレルギー診療委員会から情報提供いたします。
測定したスギ花粉日算数を提供いたします。
掲載日 | 測定日 | 飛散数PDF |
---|---|---|
令和7年3月28日 掲載 | 1月6日から3月26日まで | 飛散数のPDFはこちらから |
昨年夏はうだるような記録的猛暑でしたが、あまりにも暑すぎたのか雄花の花芽の発育がそれほど良くなく中等量〜大量飛散と予測します。
年 | 飛散数 | (個/cm2) |
---|---|---|
平成29年 | 少量飛散 | 1,976 |
30年 | 超大量飛散 | 10,589 |
令和元年 | 超大量飛散 | 9,178 |
2年 | 少量飛散 | 1,682 |
3年 | 中等量飛散 | 3,733 |
4年 | 大量飛散 | 6,041(五橋) |
5年 | 超大量飛散 | 8,926 |
6年 | 中等量飛散 | 6,285 |
7年 | 中等量〜大量飛散 | ? |
今年は例年と比較し、比較的寒い日が続く予想です。昨年と比較すると飛散開始日は遅いと予測します。
年 | 飛散開始日 |
---|---|
平成29年 | 2月17日 |
30年 | 3月2日 |
令和元年 | 2月23日 |
2年 | 2月14日 |
3年 | 2月14日 |
4年 | 3月5日 |
5年 | 2月23日 |
6年 | 1月27日 |
7年 | 2月上旬〜中旬 |
本格的なスギ花粉のシーズンに突入すると言う意味合いの、飛散開始日は、昨年より遅い2月上旬〜中旬と予測しています。
昨年は予測よりやや多い6285個となりました。一昨年は8926個と大量飛散でしたので、この2年間でスギに感作し、今年初めて症状が出る患者さんが増えると予測されます。
1月下旬からスギ花粉に敏感な患者さんは発症し、各医療機関を治療目的で受診し始めます。
症状の発症時期、重症度には個人差がありますので各個人に合わせた初期治療が必要になります。
症状が強く出てから受診しても症状を抑えることは難しく、患者さんの満足する効果を得ることは困難です。そのため症状が出る前から治療を開始する、初期治療が重要になります。
初期治療はもちろんですが、自然寛解率が低いため毎年春が来るのが憂鬱になる重症患者さんには耳鼻科医が積極的にアレルゲン免疫療法(シダキュア)に取り組むことが重要です。
今年は中等量〜大量飛散ですので毎年飛散数に関係なく症状が重症になる患者さんには、社会的状況に合わせ抗IgE抗体療法(ゾレア)も選択肢の一つとなります。
近年耳鼻科医がステロイド点眼剤(フルメトロン0.05%、0.1%)を処方し、緑内障患者の眼圧上昇に伴う視力・視野障害のトラブルが増えています。眼圧測定が必須で訴訟になりかねませんので、耳鼻科医が安易にステロイド点眼剤を処方しない方が無難です。眼瞼周囲に塗布するネオメドロールやプレドニン眼軟膏も同様です。
眼の周りの痒みが強い方にはアレジオン眼瞼クリーム0.5%が安全で有効です(ただし抗アレルギー点眼薬と同月処方ができませんので注意が必要です)。
プリビナ(市販薬のナザールなど)の点鼻用局所血管収縮薬も依存性が非常に強く刺激性も強いため連用は避けるべきです。
スギ花粉症に関する治療法などの質問コーナーをホームページに設けました。日常診療で困ったことがありましたら、是非ご利用ください。
令和7年1月吉日
アレルギー診療委員会
太田 伸男
中林 成一郎
鈴木 直弘